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戸村正章(助教)(2ページ) 分子研リポート2012 | 分子科学研究所

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248 研究領域の現状

安全衛生管理室

戸 村 正 章(助教) (2004 年 6 月 1 日着任)

A -1).専門領域:有機化学,構造有機化学,有機固体化学

A -2).研究課題:

a). 弱い分子間相互作用による分子配列制御と機能性分子集合体の構築 b).新しい機能性電子ドナーおよびアクセプター分子の開発

A -3).研究活動の概略と主な成果

a). 有機エレクトロニクスの研究において,ホウ素原子の機能を利用した物質開発が注目されている。1,3- ジケトン B F2

錯体は強い蛍光とともに高い電子受容性を示すことから,トリフェニルアミン色素にこの錯体部位を導入した有機色 素を設計・合成し,その構造をX線結晶構造解析により決定した。その光物性および電気化学的特性から,この色 素は色素増感太陽電池用色素として有用であると期待される。

b).光誘起電子移動過程を利用する高効率・高選択的還元反応開発の一環として,電子供与体としてアミン類を用い, α - ブロモメチル置換環状芳香族 β- ケトエステルの光誘起電子移動反応を検討したところ,生成物として,脱ブロ ム化 β- ケトエステル,環拡大 γ - ケトエステル,環拡大 γ - ケトエステル二量化体(meso および dl 体)が得られた。 この結果は,反応が一級アルキルラジカル中間体を経由して進行していることを示唆している。

c). 分子性伝導体や赤外線吸収色素への応用が期待されるジシアノピラジン環を含むジチオレート金属錯体の分子構造 をX線結晶構造解析により決定した。その結果,アニオン分子はほぼ平面で,平面四配位型の配位構造を形成して おり,層状にスタックしていることが明らかになった。

B -1). 学術論文

M. TOMURA and Y. YAMASHITA, “Bis(tetra-n-butylammonium) Bis(5,6-dicyanopyrazine-2,3-dithiolato-κ2S,S’) palladium(II),” Acta Crystallogr., Sect. E: Struct. Rep. Online 68, m57–m57 (2012).

B -7). 学会および社会的活動 学協会役員等

日本化学会コンピューター統括委員会 CSJ -W eb 統括的管理運営委員会委員.(2001–2002). 日本化学会広報委員会ホームページ管理委員会委員.(2003–2012).

C ). 研究活動の課題と展望

有機固体における電気伝導性,磁性,光学的非線形性などの物性の発現には,その分子固有の特質のみならず,集合体内 でどのように分子が配列しているかということが大いに関与している。そのために,このような機能性物質の開発には分子配 列および結晶構造の制御,すなわち,「分子集合体設計」というコンセプトが極めて重要となってくる。しかしながら,現状で

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研究領域の現状 249 は,簡単な有機分子の結晶構造予測さえ満足には成し遂げられていない。このことは,逆に言えば,拡張 π 電子系内に,水 素結合などの分子間の弱い相互作用を導入し,種々の分子集合体を設計・構築するという方法論には,無限の可能性が秘 められているということを示している。今後は,水素結合のみならず,ヘテロ原子間相互作用・C–H···π 相互作用・立体障 害といった新しいツールによる分子集合体設計,特に,格子状多孔性有機超分子構造体の構築に取り組みたい。また,ハ ロゲン原子と窒素原子あるいは π 電子系との間のノンコバレントな相互作用(C–X···N,C–X···π)は結晶工学上有用なツール となり得る可能性を秘めているが,水素結合系と比較してその報告例は少ない。そこでこれを用いた分子集合体設計にも注 目している。さらに,合成された分子の分子配列を決定づけているこれらの分子間相互作用の理論的な精密解析を行い,得 られた情報に基づいてその構造や機能を理解すると共に,これらの構造を再現しうるヒューリスティックな高速計算手法の開 発を通じて,結晶構造の計算化学的な予測方法を探求することを最終的な目的としたい。最後に,この分野の研究の発展に は,新規化合物の開発が極めて重要であるので,「新しい機能性電子ドナーおよびアクセプター分子の開発」の研究課題も 続行する。加えて,以上のような研究活動と安全衛生管理業務の効率的な両立を常に念頭に置いている。

参照

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